【2027年で製造終了】なぜ蛍光灯はなくなるの?水銀規制と環境問題の深層

私たちの生活に長く寄り添ってきた蛍光灯が、2027年末をもって製造・輸出入を終えることになります。突然の知らせに、「え、なんで?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

今回のブログでは、蛍光灯が姿を消す背景にある**「水銀使用の規制」と、より大きな視点での「環境問題との関連」**について、わかりやすく解説していきます。

 

長く愛された蛍光灯、その功績と抱える課題

 

明るく、比較的安価な照明として、家庭やオフィス、学校など、あらゆる場所で活躍してきた蛍光灯。その普及は、私たちの生活水準の向上に大きく貢献しました。

しかし、その裏側で、蛍光灯は解決すべき課題を抱えていました。それが**「水銀」**という物質です。

 

蛍光灯に水銀が使われている理由

 

蛍光灯が光る仕組みには、微量の水銀が不可欠です。蛍光灯のガラス管の中に封入された水銀原子に電気を流すと、紫外線が放出されます。この紫外線が、ガラス管の内側に塗られた蛍光塗料に当たることで、私たちが見る「光」に変換されるのです。

水銀は、この効率的な発光に必要不可欠な役割を果たしていました。

 

なぜ水銀が問題視されるのか?

 

水銀は、自然界に存在する元素の一つですが、強い毒性を持っています。特に、メチル水銀という有機水銀化合物は、神経系に深刻な影響を与えることが知られています。過去には、水俣病をはじめとする公害問題を引き起こしました。

蛍光灯に含まれる水銀の量はごく微量ですが、以下のような理由から、環境への負荷が懸念されています。

  • 廃棄時の問題: 適切に処理されずに廃棄された蛍光灯が破損すると、水銀が環境中に漏れ出す可能性があります。
  • 大気汚染: 焼却処理された場合、水銀が気化して大気中に拡散する可能性があります。

微量とはいえ、大量の蛍光灯が長年にわたり使用され、廃棄されてきたことを考えると、無視できない環境リスクとなるのです。

 

水俣条約とは?蛍光灯製造終了の決定的な要因

 

このような背景のもと、水銀による環境汚染と健康被害を防止するための国際的な条約**「水俣条約」**が、2017年に発効しました。

この水俣条約では、水銀の使用を段階的に削減・廃止することが定められており、その対象には特定の種類の蛍光灯も含まれています。日本もこの条約を批准しており、2027年末までに該当する蛍光灯の製造・輸出入を終了することが決定されたのです。

 

蛍光灯からLEDへ:より持続可能な未来へ

 

蛍光灯の製造終了は、決して不便になるということだけではありません。これは、より環境負荷の少ない照明への転換を促す、大きな一歩と言えます。

現在主流となりつつあるLED照明は、水銀を一切使用していません。また、消費電力が少なく長寿命であるため、ランニングコストの削減にもつながります。さらに、紫外線や赤外線の放出量が少ない、点灯・消灯が速いといったメリットもあります。

 

まとめ:未来の世代のために、私たちにできること

 

蛍光灯の製造終了は、水銀による環境汚染のリスクを減らし、より持続可能な社会を目指すための重要な取り組みです。

私たち一人ひとりがこの背景を理解し、LED照明への切り替えを積極的に進めることで、地球環境の保全に貢献することができます。

もしご自宅やオフィスでまだ蛍光灯を使用している場合は、この機会にLED照明への切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。少しの意識と行動が、未来の世代にとってより良い環境を残すことにつながります。


いかがでしたでしょうか?蛍光灯がなくなる理由について、少しでも深く理解していただけたら幸いです。ご自身の照明を見直すきっかけになれば嬉しく思います。